Python開発者にとって、複数のプロジェクトを同時に扱う際に異なるPythonバージョンやライブラリを管理するのは一般的な課題です。この記事では、macOSとWindowsでPythonのマルチバージョン環境を構築し、プロジェクトごとに異なるPython環境を作成する方法を解説します。pyenvとvirtualenvを活用し、より効率的で柔軟な開発環境を整えましょう。
Pythonのマルチ環境を構築するには、pyenv
とvirtualenv
を使用することをお勧めします。pyenv
は、システム全体で複数のPythonバージョンを管理するためのツールで、virtualenv
は、プロジェクトごとに異なるPython環境を作成するためのツールです。
以下に、macOSとWindowsでそれぞれの環境を構築する手順を説明します。
環境構築手順
macOS
Homebrewのインストール
(まだインストールされていない場合) ターミナルで以下のコマンドを実行して、Homebrewをインストールしてください。
/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"
pyenvのインストール ターミナルで以下のコマンドを実行して、pyenvをインストールしてください。brew install pyenv
brew install pyenv
pyenvの設定 ターミナルで以下のコマンドを実行して、pyenvの設定を行ってください。
echo 'export PYENV_ROOT="$HOME/.pyenv"' >> ~/.zshrc
echo 'export PATH="$PYENV_ROOT/bin:$PATH"' >> ~/.zshrc
echo 'eval "$(pyenv init --path)"' >> ~/.zshrc
source ~/.zshrc
Pythonバージョンのインストール ターミナルで以下のコマンドを実行して、必要なPythonバージョンをインストールしてください。
pyenv install 3.8.0
pyenv install 3.9.0
virtualenvのインストール ターミナルで以下のコマンドを実行して、virtualenvをインストールしてください。
pip install virtualenv
Windows
Windowsでpyenvを使うために、pyenv-winをインストールします。PowerShellを管理者権限で開き、以下のコマンドを実行してください。
(new-object System.Net.WebClient).DownloadFile('https://github.com/pyenv-win/pyenv-win/archive/refs/heads/master.zip', 'pyenv-win.zip')
Expand-Archive .\pyenv-win.zip -DestinationPath ~
Move-Item ~\pyenv-win-master ~\pyenv
環境変数の設定 システム環境変数を追加します。環境変数の設定画面を開いて、以下の変数を追加してください。
PYENV %USERPROFILE%\pyenv
PYENV_HOME %PYENV%\pyenv-win
PYTHON_HOME %PYENV%\versions
また、環境変数Path
に以下の3つのパスを追加してください。
%PYENV%\bin
%PYENV_HOME%\bin
%PYTHON_HOME%\python3\Scripts
設定が完了したら、コンピュータを再起動するか、ログオフして再度ログインしてください。
Pythonバージョンのインストール PowerShellで以下のコマンドを実行して、必要なPythonバージョンをインストールしてください。
pyenv install 3.8.0 pyenv install 3.9.0
virtualenvのインストール PowerShellで以下のコマンドを実行して、virtualenvをインストールしてください。
pip install virtualenv
プロジェクトごとに異なるPython環境を作成する方法
macOSとWindows共通で使用できる方法です。プロジェクトフォルダ内で以下のコマンドを実行して、新しい仮想環境を作成し、その環境を有効にします。
# 仮想環境の作成
virtualenv venv --python=<適切なPythonバージョン>
# 仮想環境の有効化(macOS / Linux)
source venv/bin/activate
# 仮想環境の有効化(Windows)
venv\Scripts\activate
仮想環境が有効化された状態で、必要なパッケージをインストールしてください。仮想環境を終了する場合は、以下のコマンドを実行してください。
deactivate
これで、macOSとWindowsで、Pythonのマルチバージョン環境を構築できました。プロジェクトごとに異なるPython環境を作成し、パッケージの競合を避けることができます。